私は押し寿司、箱寿司を愛好している。決まったかたちのなかに、秩序があるのがこの寿司の特徴だ。何を隠そう私の出身地、愛知県も箱寿司県とでも形容すべきほどの地域であって、とにかく、箱寿司というものを敬愛している。そのため、どこへ行っても地域にオリジナルな箱寿司があるとついつい買ってしまう。でも、食味として好きなのはたぶん、にぎり寿司のほうである。
これは尾鷲の伝統的な押し寿司。押し寿司という味気ない名前で売られていたが、尾鷲ではこけらずしと呼ばれている。こけらを屋根に葺くように、いろいろのネタを並べてあることに由来するらしい。尾鷲だけではく紀伊長島でも作られていて、これは実は紀伊長島のもの。干し椎茸、にんじん、たけのこ(ごぼうだったかもしれない)、玉子、それにサンマ。季節の野菜の中にひとつ、魚を合わせるので、野菜はそのときどきによってキュウリであったりごぼうであったりもする。魚はサンマのほかにはサバも使われる。上からの写真では分からないが、横から見てみると、ご飯は実は薄くて、間にミョウガの葉が挟んである。
品があって、うつくしい。郷土寿司によくある甘い味付けに、見た目とのギャップを感じる。ツイッターでモンドリアンのコンポジションのようだというリプライがあったけれど、そのとおりというか、同じ源のうつくしさがある。昔はあの手の抽象画は苦手だったことを思い出した。
これは尾鷲の伝統的な押し寿司。押し寿司という味気ない名前で売られていたが、尾鷲ではこけらずしと呼ばれている。こけらを屋根に葺くように、いろいろのネタを並べてあることに由来するらしい。尾鷲だけではく紀伊長島でも作られていて、これは実は紀伊長島のもの。干し椎茸、にんじん、たけのこ(ごぼうだったかもしれない)、玉子、それにサンマ。季節の野菜の中にひとつ、魚を合わせるので、野菜はそのときどきによってキュウリであったりごぼうであったりもする。魚はサンマのほかにはサバも使われる。上からの写真では分からないが、横から見てみると、ご飯は実は薄くて、間にミョウガの葉が挟んである。
品があって、うつくしい。郷土寿司によくある甘い味付けに、見た目とのギャップを感じる。ツイッターでモンドリアンのコンポジションのようだというリプライがあったけれど、そのとおりというか、同じ源のうつくしさがある。昔はあの手の抽象画は苦手だったことを思い出した。