なかなかこのブログの更新がないのは、とにかくすき間時間すらなくなったこの生活に原因がある。すき間時間の減少は自炊活力を奪い、またブログの更新時間も奪っていく。電車移動がすっかり不便になり、主にこの更新作業にあてていた時間はかなり少なくなってしまった。 さて私は菜飯が好きで好きでたまらないのだけれど、普段作っている菜飯は葉を炒めてから混ぜ込むタイプのものだ。このきわめて細かく刻んだタイプのものが、我が家の味のひとつだった。 しかし本当は、そんなことをしないで済む方がいい。炒めるのは香りが出ることと、多少茎の固いものでも気にならなくなるという利点のためで、柔らかくて素晴らしい摘み菜であれば、漬物にしてから使うのもよろしい。茎の細い、柔らかそうな摘み菜を目ざとく見つけて、買い求めなければならない。今回はたまたま、和歌山県のスーパーで京都産のものを見つけて、わざわざ福岡まで持ち帰ってきた。 摘み菜は根元のところまでしっかり、砂泥が残らないように丹念に洗う。水気を切って大きなボールに入れたら塩をたっぷり、白さがあるくらいに振りかけて、10分もすると葉がしんなりしてくるから全体に塩が回るように軽く揉む。それからまた15分ほど置いて、しっかりしなしなになったことを確認したら、そのまま一度、葉をぎゅっと絞り、さらに水でさっと流してからまた絞る。これを束ねてジップロックに空気を抜いて詰めておく。ボールに水を溜めて、中で復路を閉じるようにすれば空気を抜くこと自体はたやすい。 こうして冷蔵庫で1週間も置くとちょうどいい加減に、青も美しく漬け上がる。少し刻んで塩気を確かめ、塩辛ければ少し水洗いして絞るといい。細かくたくさん刻んで、炊き立てのご飯に混ぜるとそれだけで食卓が豊かになる。こういう時間を大切にしたいものだ。
いよいよ寒くなってきた。今年は夏の暑さを長く引きずり、秋になってもなかなか気温が落ちなかった。12月の半ばに至ってようやくまともな寒気が来て、福岡でも雪が降った。 冬至に食べるものは地域や世代によってちがっていて、一般にはかぼちゃ(南瓜)を食べるらしいけれど、我が家では冬瓜を食べることが多かった。沖縄では冬瓜のことをシブイ呼んで、やはり冬至に汁にして食べることが多い。その他、小豆のジューシー、またここに冬瓜を加えたジューシーも冬至の食べ物だ。内地でも冬至に小豆粥を食べる地域がある。 そういうわけで夏に買っておいた冬瓜と、小豆を炊いて食べることにした。まずは小豆。さっと洗って水から強火で炊いて、沸騰したら2、3分ののちに湯を切る。冬瓜は切ったら中のたねのところをしっかりくり抜き、適当に厚めに切ってみて皮をとり(表面を薄く削ぐ程度で構わない。好みの問題)、おおよそ3センチ四方くらいに切る。鍋に被るくらいの水と入れて、沸騰したらすぐに湯から上げる。たまたま入手したツチクジラの生皮は、しっかり火が通るくらいに湯がいて、食べやすい大きさに切る。 鍋に水、小豆を入れて、このあとに冬瓜が入るから水はかなり多くてかまわないが、強火で沸かして沸いたら中弱火にして15分ほど煮る。ここにツチクジラと、かつおだし、濃口醤油、酒、みりん(醤油と酒とみりんは2対1対1とした)も加えて薄味の汁とし、また10分ばかり煮る。湯を通しておいた冬瓜と、薄切りのしょうがも少しだけ加えて、落し蓋をかけて10分ほど弱火で煮る。味を見て、薄ければ醤油で調整する。皿に盛ってからゆずで香り付けする。 これをいくらか余らせて、翌朝にジューシーにしたらたいへんすばらしかった。ジューシーはどろどろの白粥のように炊くのではなくて、茶粥の要領で、ぼこぼこと芯を残すようにして炊くのがいい。余らせた汁の中にさっと洗った米を加えて、中火にかけると沸騰して表面にブクブクが溜まってくるからこれを2、3回掬う。そのまま中火を維持して炊き、とろみが出てきたら焦げ付かないように火を少し弱めて、また最後は弱火にして好みの固さに調整する。気弱にずっと弱火で炊いたらどろどろになってしまう。シブイとアカマミのジューシー、今年食べたジューシーの中でもピカイチのうまさだった。