親子丼は日本のどんぶり料理の中でももっとも一般的なもののひとつだろうと思う。しかしその味付けや作り方には微妙ながら大きな多様性があるという会話を先日ツイッタ上でしていた。辞書を引くと、「どんぶり飯の上に、味付けして煮た鶏肉とタマネギ・シイタケなどとを鶏卵でとじてのせたもの。」とある。私の育った愛知県の西部は外食に乏しい土地柄で、古い定食屋は少なかった。しかし、いくつかのきしめん屋やうどん屋では、親子丼が定番メニューのひとつとしてあったように思う。私の好きだった水鶏庵のだったか、あるいは別の店でも出していたと思うのだけれど、その親子丼のなかにひきずりのように調理したものがあった。ひきずりというのはすき焼きのことで、しかし話者はもうほとんどいない。私自身の経験からすれば、すでに亡くなった大正生まれの曾祖母と、かつて近所にあった肉屋のおばさんが唯二の聞き取り例になっている。
すき焼きという料理も地域や家庭によって千差万別だと言える。愛知県西部の旧式のすき焼き、ひきずりは、鍋に油か牛脂を敷いてから、鶏肉または牛肉、ねぎを投入して表面をよく焼き、そこへ砂糖を乗せて割り下をかけ回す。そこへしらたきや豆腐などを加え、煮えたら食べるというもので、炒り煮のスタイルをとっている。我が家では最初にこのひきずり風で食べたあとに、普通のすき焼きをするのが通例だった。
さてその親子丼を作る。最初にさばむろ混合の厚削り節でだしをとっておく。これは100ccもあれば十分で、面倒ならだしの素でもなんでもいいけれど、今日はきしめん屋のだしを考えてこのように。そこへ白醤油を大さじ1くらい、たまり醤油を小さじに1、みりんを大さじ1、白砂糖を大さじ1と、酒をいくらか加えてつゆを作って煮立てる。スキレットにサラダ油を敷いて、少しばかり大きめに切った鶏のもも肉を両面とも強めの火でよく焼く。たまねぎと青ねぎ(本当は越津ねぎがいい)も加えて、強火で表面に火を通す。ここで先のつゆをお玉に2杯程度加えて、鶏肉に火が通るまで煮る。火を切ったら溶き玉子(2個が適量。あまりしっかりと溶かず、むらを残した方がいい)を箸を伝わせてまわし入れ、ふたをして10秒程度置き、手早くご飯の上に移す。写真のものは手早さに少々の抜かりあり。
ねぎは煮すぎると色が悪くなってしまうから、場合によっては炒めたあとに一旦取り出しておいて、鶏肉が煮えてきたら加えてもいい。越津ねぎは青いところの分厚い甘味のあるねぎで、これを使うのが一番。九州ではなかなか手に入らないので、仕方なく少し細めの青ねぎを使う。煮るだけの親子丼と違って、このひきずり的親子丼は風味があるし、食感にも緩急が出ておいしいと思う。
すき焼きという料理も地域や家庭によって千差万別だと言える。愛知県西部の旧式のすき焼き、ひきずりは、鍋に油か牛脂を敷いてから、鶏肉または牛肉、ねぎを投入して表面をよく焼き、そこへ砂糖を乗せて割り下をかけ回す。そこへしらたきや豆腐などを加え、煮えたら食べるというもので、炒り煮のスタイルをとっている。我が家では最初にこのひきずり風で食べたあとに、普通のすき焼きをするのが通例だった。
さてその親子丼を作る。最初にさばむろ混合の厚削り節でだしをとっておく。これは100ccもあれば十分で、面倒ならだしの素でもなんでもいいけれど、今日はきしめん屋のだしを考えてこのように。そこへ白醤油を大さじ1くらい、たまり醤油を小さじに1、みりんを大さじ1、白砂糖を大さじ1と、酒をいくらか加えてつゆを作って煮立てる。スキレットにサラダ油を敷いて、少しばかり大きめに切った鶏のもも肉を両面とも強めの火でよく焼く。たまねぎと青ねぎ(本当は越津ねぎがいい)も加えて、強火で表面に火を通す。ここで先のつゆをお玉に2杯程度加えて、鶏肉に火が通るまで煮る。火を切ったら溶き玉子(2個が適量。あまりしっかりと溶かず、むらを残した方がいい)を箸を伝わせてまわし入れ、ふたをして10秒程度置き、手早くご飯の上に移す。写真のものは手早さに少々の抜かりあり。
ねぎは煮すぎると色が悪くなってしまうから、場合によっては炒めたあとに一旦取り出しておいて、鶏肉が煮えてきたら加えてもいい。越津ねぎは青いところの分厚い甘味のあるねぎで、これを使うのが一番。九州ではなかなか手に入らないので、仕方なく少し細めの青ねぎを使う。煮るだけの親子丼と違って、このひきずり的親子丼は風味があるし、食感にも緩急が出ておいしいと思う。