私も多くの名古屋民族と同じく、手羽先が大の好物だ。子供の頃、飲み屋(というよりもいわゆる炉端屋に近い)にたまに連れていってもらうことがあると、とにかく手羽先とじゃがバターばかり食べる。そういう子供だった。九州ではなかなかこれだという手羽先が食べられないのがかなしい。かといって、山ちゃんのような、コショウ辛すぎる手羽先は苦手で、もっとやさしい味のものが好みなので、いよいよ自分にとってのよい手羽先にありつける機会はとても少ない。
ところで先日、とある漫画で名古屋人の手羽先の食べ方というのがネタになっていた。これが我々としては許容しがたい、いかにも「きたなこい」ものであったので、名古屋民族を代弁して(?)私が昔、飲み屋で習った(叔父も同じ食べ方だ)食べ方を紹介したい。名古屋民族は保守的なのだ。
手羽先はくの字の形をしていて、肉がたくさんついている方(手羽中)と、そうでない、薄っぺらい方(狭義の手羽先)とがある。肉のついているところには2本の骨が平行に並んでいて、上のものが細く、下のものが太い。そして、手羽先の裏表という観点で眺めてみると、皮がついている、凹凸のない側が表、肉が露出して凹凸のある側が裏である。まずは1「手羽先の肉の部分の端のうち、太い骨のある部分」を人差し指と親指でつまむように持ち、次に2「くの字の湾曲部の直後のあたりの、突起の出ているあたり」を同じように持つ。このとき、裏側が自分の方を向いているように持つ。
次に、2の部分はそのままで、1の部分をひねるように動かし、手羽先のくの字の湾曲部、ここの関節を外して、人差し指の腹で押し上げるように動かす。こうすると外れた関節から、シーソーのように骨が浮き上がってくるから、これをそのまま外す。
こうすると手羽先には細い骨が1本だけ残っている状態になるので、この回りをズルリと食べられる。もちろん、取り外した太い骨についている肉も食べる。これが名古屋の、正統な手羽先の食べ方のひとつである。
もうひとつの主流は、先に手羽先の薄い部分を湾曲部から大胆に外してしまったのち、骨2本を割るように外して、それぞれについた肉を食べるという方法。いずれも、ちょっと通な、手羽先中毒の名古屋人にみられる方法である。家族に飲み助がいないと、名古屋人であっても意外と手羽先の食べ方というのを知らなくて、そのまま適当に、どこからともなくかぶりついて、荒々しく食べている(それが悪いというわけではない)。名古屋人との酒の席での会話でもっとも盛り上がる話題のひとつがこの手羽先の食べ方であることは間違いなく(味噌は家ごとに決まっているから意外と盛り上がらない)、それぞれにこだわりの食べ方があったりする。もちろんお気に入りの店もある。最近は名古屋という土地にもたくさん人が出入りするようになったので、この手の話をすることは少しずつ難しくなってきている。名古屋人はシャイだでね。よそのひとがみえるとよーしゃべらんでかん。
ところで先日、とある漫画で名古屋人の手羽先の食べ方というのがネタになっていた。これが我々としては許容しがたい、いかにも「きたなこい」ものであったので、名古屋民族を代弁して(?)私が昔、飲み屋で習った(叔父も同じ食べ方だ)食べ方を紹介したい。名古屋民族は保守的なのだ。
手羽先はくの字の形をしていて、肉がたくさんついている方(手羽中)と、そうでない、薄っぺらい方(狭義の手羽先)とがある。肉のついているところには2本の骨が平行に並んでいて、上のものが細く、下のものが太い。そして、手羽先の裏表という観点で眺めてみると、皮がついている、凹凸のない側が表、肉が露出して凹凸のある側が裏である。まずは1「手羽先の肉の部分の端のうち、太い骨のある部分」を人差し指と親指でつまむように持ち、次に2「くの字の湾曲部の直後のあたりの、突起の出ているあたり」を同じように持つ。このとき、裏側が自分の方を向いているように持つ。
次に、2の部分はそのままで、1の部分をひねるように動かし、手羽先のくの字の湾曲部、ここの関節を外して、人差し指の腹で押し上げるように動かす。こうすると外れた関節から、シーソーのように骨が浮き上がってくるから、これをそのまま外す。
こうすると手羽先には細い骨が1本だけ残っている状態になるので、この回りをズルリと食べられる。もちろん、取り外した太い骨についている肉も食べる。これが名古屋の、正統な手羽先の食べ方のひとつである。
もうひとつの主流は、先に手羽先の薄い部分を湾曲部から大胆に外してしまったのち、骨2本を割るように外して、それぞれについた肉を食べるという方法。いずれも、ちょっと通な、手羽先中毒の名古屋人にみられる方法である。家族に飲み助がいないと、名古屋人であっても意外と手羽先の食べ方というのを知らなくて、そのまま適当に、どこからともなくかぶりついて、荒々しく食べている(それが悪いというわけではない)。名古屋人との酒の席での会話でもっとも盛り上がる話題のひとつがこの手羽先の食べ方であることは間違いなく(味噌は家ごとに決まっているから意外と盛り上がらない)、それぞれにこだわりの食べ方があったりする。もちろんお気に入りの店もある。最近は名古屋という土地にもたくさん人が出入りするようになったので、この手の話をすることは少しずつ難しくなってきている。名古屋人はシャイだでね。よそのひとがみえるとよーしゃべらんでかん。