日頃から魚ばかり食べていると、正反対のものが食べたくなる。これは京都人が天下一品のこってりなラーメンを生み出した心理に似ているのかもしれない。正反対のものの代表格が焼き肉!ステーキ!でも、そんなものがいつもいつも食べられるわけもないので、結局ジャンクフードのマクドナルドに落ち着く。マクドナルドのハンバーガーはほどほどにおいしいのだけど、ほどほどにおいしくない。ハンバーガーは好きなのだけど、何かが足りていないのだ。そんな物足りなさを埋めたくて、ときどきハンバーガー屋を探して入ることがある。本来のハンバーガーはもっとうまいのではないか、という、気持ちの穴である。この日もたまたま福岡のいつもは歩かない市街地を歩き、たまたまよく分からない路地に迷い込み。とすると、薄暗いシャッターの奥にある不思議な小汚ないバーガー屋にぶつかった。
メニューはシンプル。チーズバーガーを注文すると、目の前でバンズとパティとを焼き始めた。パティから染み出た脂は、バンズに移していく。味付けは塩とコショウのみで、余計なソースはかけない。私は元来、とんかつにもハンバーグにもソースをかけない人間なので、これはとてもありがたい。
肉のうまみと、たまねぎの甘み、パンの風味だけで勝負するようなバーガーはこの日の気分にぴったりだった。このカルチュアルなバーガースタイルは60年代のアメリカでは一般的なものだったそうだが、70年代にマクドナルドによるファーストフードの波が来て、数年のうちにほとんど絶滅してしまったらしい。実際にはマクドナルドはドッグフードと呼ばれてアメリカでは受けなかった(低所得者層の日常食となった)が、ファーストフードスタイルのバーガーショップが次々に参入して、この時間と手間のかかる"じじ臭い"バーガースタイルは姿を消してしまったというのである。今、日本ではあらゆる食べ物についてファスト化、外食化が進んでいるけれど、そんなものとは比べ物にならない速度でアメリカのバーガー史は塗り変わってしまったのだ。これはとてもおそろしいことだと思う。
ところで、日本のハンバーガーはたいていバンズが冷たいけれど、やはりパンは温かいほうがいい。冷たいパンでは単なるサンドイッチでしかない。アメリカでは何度かハンバーガーを食べて、そのどれも日本のものよりうまかったけれど、この日のハンバーガーはそれらを超えるものだった。
メニューはシンプル。チーズバーガーを注文すると、目の前でバンズとパティとを焼き始めた。パティから染み出た脂は、バンズに移していく。味付けは塩とコショウのみで、余計なソースはかけない。私は元来、とんかつにもハンバーグにもソースをかけない人間なので、これはとてもありがたい。
肉のうまみと、たまねぎの甘み、パンの風味だけで勝負するようなバーガーはこの日の気分にぴったりだった。このカルチュアルなバーガースタイルは60年代のアメリカでは一般的なものだったそうだが、70年代にマクドナルドによるファーストフードの波が来て、数年のうちにほとんど絶滅してしまったらしい。実際にはマクドナルドはドッグフードと呼ばれてアメリカでは受けなかった(低所得者層の日常食となった)が、ファーストフードスタイルのバーガーショップが次々に参入して、この時間と手間のかかる"じじ臭い"バーガースタイルは姿を消してしまったというのである。今、日本ではあらゆる食べ物についてファスト化、外食化が進んでいるけれど、そんなものとは比べ物にならない速度でアメリカのバーガー史は塗り変わってしまったのだ。これはとてもおそろしいことだと思う。
ところで、日本のハンバーガーはたいていバンズが冷たいけれど、やはりパンは温かいほうがいい。冷たいパンでは単なるサンドイッチでしかない。アメリカでは何度かハンバーガーを食べて、そのどれも日本のものよりうまかったけれど、この日のハンバーガーはそれらを超えるものだった。