私は大学生活の半分以上を三重県志摩で過ごした。研究に没頭しつつも、志摩の文化を隣人として感じ、理解することにつとめた時期でもあった。
指導教官の退官記念懇親会をすることになったので、久しぶりに志摩に滞在した。私はサブの調理役として、てこねずし、そしてこわかしにを作る。
てこねずし、てこねは何度も申し上げているとおり、志摩人のソウルフードであって、単なる漬け丼ではない。この日はソマ(ヒラソウダ)の小さいものを使って、てこねをする。「あるもん」を使って作るのがてこねなのであって、それはときにカツオであったり、イサキであったり、このソマであったりする。ご飯は少しだけ硬めに炊いて、炊きたてのご飯に対し、通常の酢飯を作るときに使う合わせ酢の半量分を合わせる。規定量どおりだと、ご飯がべとべとになってしまう。なお、合わせ酢には塩を入れないで、かつ砂糖を多めに入れると志摩風になる。ここに漬け汁を適量混ぜ合わせて色を付けていく。色みがついたら人肌程度に冷まし、ソマの漬け身を混ぜ合わせる。最後に玉子と大葉を散らす。ここに刻んだ紅しょうがをやってもいい。
さて、こわかしに。これは小明石煮が訛ったもの。和歌山のみの郷土料理だと思われているが、三重県でも作られる。志摩ではウツボの開き干しを刻んだものが売られているから、これを買う。まずはじっくりと素揚げにして、小骨が気にならない程度にする。パリパリか、そのわずかに手前の食感にまで、我慢強く仕立てる。一旦冷ましてから、沸騰させた湯に30秒ほどくぐらせる。これで余計な油と、塩味を少し落とす。小鍋に醤油、砂糖(たいてい白砂糖)、酒、水をわかし、ここに刻んだ針しょうがを適量加えて、中強火でウツボを煮る。ウツボには元々の塩気があるから、醤油は気持ち少な目でよい。20分ほど煮たらざるにあけ、冷ます。
志摩ではウツボはこのこわかしにの他、素揚げ、塩干し、味噌汁で食べられている。冬場、伊勢エビの網干場に行けばひらひらと寒風に泳ぐウツボの開き干しを目にすることができる。
指導教官の退官記念懇親会をすることになったので、久しぶりに志摩に滞在した。私はサブの調理役として、てこねずし、そしてこわかしにを作る。
てこねずし、てこねは何度も申し上げているとおり、志摩人のソウルフードであって、単なる漬け丼ではない。この日はソマ(ヒラソウダ)の小さいものを使って、てこねをする。「あるもん」を使って作るのがてこねなのであって、それはときにカツオであったり、イサキであったり、このソマであったりする。ご飯は少しだけ硬めに炊いて、炊きたてのご飯に対し、通常の酢飯を作るときに使う合わせ酢の半量分を合わせる。規定量どおりだと、ご飯がべとべとになってしまう。なお、合わせ酢には塩を入れないで、かつ砂糖を多めに入れると志摩風になる。ここに漬け汁を適量混ぜ合わせて色を付けていく。色みがついたら人肌程度に冷まし、ソマの漬け身を混ぜ合わせる。最後に玉子と大葉を散らす。ここに刻んだ紅しょうがをやってもいい。
さて、こわかしに。これは小明石煮が訛ったもの。和歌山のみの郷土料理だと思われているが、三重県でも作られる。志摩ではウツボの開き干しを刻んだものが売られているから、これを買う。まずはじっくりと素揚げにして、小骨が気にならない程度にする。パリパリか、そのわずかに手前の食感にまで、我慢強く仕立てる。一旦冷ましてから、沸騰させた湯に30秒ほどくぐらせる。これで余計な油と、塩味を少し落とす。小鍋に醤油、砂糖(たいてい白砂糖)、酒、水をわかし、ここに刻んだ針しょうがを適量加えて、中強火でウツボを煮る。ウツボには元々の塩気があるから、醤油は気持ち少な目でよい。20分ほど煮たらざるにあけ、冷ます。
志摩ではウツボはこのこわかしにの他、素揚げ、塩干し、味噌汁で食べられている。冬場、伊勢エビの網干場に行けばひらひらと寒風に泳ぐウツボの開き干しを目にすることができる。