ミキユーは沖縄のひとびとにとって、身近な淡水魚のひとつだ。沖縄の川ならどこにでもいる、本土でいうところのフナのような存在(沖縄にもフナはいる)がこのミキユーこと、オオクチユゴイである。
沖縄島の南部では河川環境が悪化し、また大量のティラピアがいるので目につきにくいが、やんばるの清らかな流れにビュンビュン素早く泳いでいるのがこの魚。大きいものでは50センチ近くになるというが、ふつう川で出会うものはせいぜい30センチほどのものだ。神経質だが、夜間は餌釣りでも釣れるし、川で網を張ると捕れることもある。
この魚の味に関する記憶は、当時の魚類相調査での壮絶な疲労によって完全に抹消されていた。記憶に残らない魚の味というのは、得てしてあまりうまくなかったか、平凡だったということが多い。この魚をたまたま入手したので、やんばるのおじーが昔食べていたというマース煮にしてみることにした。
解凍したものの鱗は硬く、肉は比較的柔らかい。あまりうまい気はしないが、腹を割くとしっかり脂の巻いた消化管が出てきた。エラとハラワタを取り除き、切れ込みをいれる。鍋に水2カップと、泡盛4分の1カップ、そこに沖縄は与那国の塩を小さじに1杯加えて、沸騰したらミキユー2匹と厚揚げ、生姜の薄切りを2枚加えて強火で煮る。マース煮はとにかく強火が大事。あくが出てくるのをできるだけとり、あまり出なくなってきたらシカクマメを放り込んだ。
この魚、味にては上質なヒラスズキのようで、とにかく非の打ち所のないうまさだった。煮汁もうまいので、ご飯にかけて食べたいくらい。しかしこれも、やんばるの清らかな水あってこそのもので、南部の生活排水によって汚染された川のものではこうはいかないだろう。
沖縄島の民はかつて、川の生き物を積極的に利用していた。そういう時代の記憶を知る者も、今はどれほど残っているのだろうか。
沖縄島の南部では河川環境が悪化し、また大量のティラピアがいるので目につきにくいが、やんばるの清らかな流れにビュンビュン素早く泳いでいるのがこの魚。大きいものでは50センチ近くになるというが、ふつう川で出会うものはせいぜい30センチほどのものだ。神経質だが、夜間は餌釣りでも釣れるし、川で網を張ると捕れることもある。
この魚の味に関する記憶は、当時の魚類相調査での壮絶な疲労によって完全に抹消されていた。記憶に残らない魚の味というのは、得てしてあまりうまくなかったか、平凡だったということが多い。この魚をたまたま入手したので、やんばるのおじーが昔食べていたというマース煮にしてみることにした。
解凍したものの鱗は硬く、肉は比較的柔らかい。あまりうまい気はしないが、腹を割くとしっかり脂の巻いた消化管が出てきた。エラとハラワタを取り除き、切れ込みをいれる。鍋に水2カップと、泡盛4分の1カップ、そこに沖縄は与那国の塩を小さじに1杯加えて、沸騰したらミキユー2匹と厚揚げ、生姜の薄切りを2枚加えて強火で煮る。マース煮はとにかく強火が大事。あくが出てくるのをできるだけとり、あまり出なくなってきたらシカクマメを放り込んだ。
この魚、味にては上質なヒラスズキのようで、とにかく非の打ち所のないうまさだった。煮汁もうまいので、ご飯にかけて食べたいくらい。しかしこれも、やんばるの清らかな水あってこそのもので、南部の生活排水によって汚染された川のものではこうはいかないだろう。
沖縄島の民はかつて、川の生き物を積極的に利用していた。そういう時代の記憶を知る者も、今はどれほど残っているのだろうか。