高知のすしの多様さについては、ここで何度か取り上げているとおもう。では、雑煮はどうだろう。高知にはすましの雑煮と味噌の雑煮とがあり
、もちの種類も必ずしも角もちに限らず、丸もちである場合もあるようだ。
そんな高知の市街地で、妙齢のかつてのおねえさん(70代)から、雑煮について聞き取る。この方の家では代々すましの雑煮で、かますのだしを取ったものが最高のものであるらしい。高知はだしの文化もおもしろく、かつお節、さば節といった節類だけでなく、いりこ、こびら(マイワシ)、えそ、あじじゃこ(マアジ)など、さまざまな煮干しが使われている。かますの煮干しは量的にはさほど多くない。また、出るのは晩秋で、人気があり年末には売り切れることもあるらしい。そんな話を一通り聞いてから、それならとかます(アカカマス)の煮干しを買い求める。
かますは前の晩から水に浸しておく。1カップあたり1本として、例によって3人前で4カップに4本。朝になったらこれを中火で煮る。沸騰したら弱火にして3から5分、あくを取りながら煮る。煮だしたかますは取り出して、砂糖醤油で煮るといいおかずになる。
ここに塩を小さじ1、うすくち醤油を小さじ2分の1加えて調味する(高知の場合、醤油はないこともある)。この汁でもちを煮て、柔らかくなったらお椀に盛る。ほかには京菜(水菜)と、かまぼこ、茹でえび。えびは「なんでもいい、あるもの」ということだったので、浦戸湾に多いヨシエビを使ってみた。
かますのだしとは、こんなにもうまいものだったのかと驚く。これはなるほど、あじじゃこやいりこでは出すことのできない味だ。ところで、この雑煮に対して、水菜は最近の流行りものである、というリプライをいただいた。高知県は横に長く、地域によって状況は異なるから、聞き取りを行った高知市街がかつてどうであったのか、調べてみる必要があるだろう。高知中部にはツケナ、あるいは潮江菜と呼ばれる在来の水菜に似た野菜があったようで(近年少数の栽培がある)、これが水菜に置き換わったのかもしれない。尾張のもち菜が次第に小松菜に置き換わりつつある現状を思い出し、機会を見つけて調べてみたいと思うけれども、あまりに遠い高知で、しかも趣味的なことに使う余裕はないのだということを自覚する。
、もちの種類も必ずしも角もちに限らず、丸もちである場合もあるようだ。
そんな高知の市街地で、妙齢のかつてのおねえさん(70代)から、雑煮について聞き取る。この方の家では代々すましの雑煮で、かますのだしを取ったものが最高のものであるらしい。高知はだしの文化もおもしろく、かつお節、さば節といった節類だけでなく、いりこ、こびら(マイワシ)、えそ、あじじゃこ(マアジ)など、さまざまな煮干しが使われている。かますの煮干しは量的にはさほど多くない。また、出るのは晩秋で、人気があり年末には売り切れることもあるらしい。そんな話を一通り聞いてから、それならとかます(アカカマス)の煮干しを買い求める。
かますは前の晩から水に浸しておく。1カップあたり1本として、例によって3人前で4カップに4本。朝になったらこれを中火で煮る。沸騰したら弱火にして3から5分、あくを取りながら煮る。煮だしたかますは取り出して、砂糖醤油で煮るといいおかずになる。
ここに塩を小さじ1、うすくち醤油を小さじ2分の1加えて調味する(高知の場合、醤油はないこともある)。この汁でもちを煮て、柔らかくなったらお椀に盛る。ほかには京菜(水菜)と、かまぼこ、茹でえび。えびは「なんでもいい、あるもの」ということだったので、浦戸湾に多いヨシエビを使ってみた。
かますのだしとは、こんなにもうまいものだったのかと驚く。これはなるほど、あじじゃこやいりこでは出すことのできない味だ。ところで、この雑煮に対して、水菜は最近の流行りものである、というリプライをいただいた。高知県は横に長く、地域によって状況は異なるから、聞き取りを行った高知市街がかつてどうであったのか、調べてみる必要があるだろう。高知中部にはツケナ、あるいは潮江菜と呼ばれる在来の水菜に似た野菜があったようで(近年少数の栽培がある)、これが水菜に置き換わったのかもしれない。尾張のもち菜が次第に小松菜に置き換わりつつある現状を思い出し、機会を見つけて調べてみたいと思うけれども、あまりに遠い高知で、しかも趣味的なことに使う余裕はないのだということを自覚する。