このところの寒気で、福岡もぐーっと冷え込んできた。我が家の室温もついに20℃を切り、着実に冬へと向かっていることを実感する。
ところで、11月11日は鮭の日であるらしい。鮭という字の中に土土、すなわち11がふたつ含まれていることに因むもの。それならと冷凍庫から村上の鮭を掘り出して、鮭の粕汁を作ってみる。新潟村上では今も伝統的な製法で塩引き鮭が脈々と作りつづけられている。これは加工業者の話だけれど、なかには自宅で塩引き鮭を作る方もいるようだ。この塩引き鮭は今どきの甘塩サケに比べるとかなり塩辛いが、その分熟成したうまみの豊かなものである。焼いて食べるのもいいし、ほぐしてサケご飯にするのもいい。もちろん、粕煮、粕汁にはもってこいだ。
ここでの材料は四人分。塩引き鮭のカマをひとくち大に切り分けて、さっと湯通しする。サケは骨が柔らかいので、普通の包丁で切り分けられる。皮を取ったりしてはいけない。里芋3個は皮を剥いてから厚さ1センチほどに切って、流水で少しすすぐ。ごぼう2分の1本、小さなものなら1本をささがきに、にんじん2分の1本とだいこん5分の1本は少し太めの拍子切りにする。にんじんの方は厚さ5ミリ程度に縦に切ってから、同程度に切って、またこれを半分にする。だいこんは皮を剥いて、これまた5ミリ厚に輪切りにしてから同程度に切ると拍子切りになる。
水4カップに湯引きしたサケを加えて中火にかけ、煮立ったらアクを取る。そこへ里芋、にんじん、だいこんを加えて、中火で煮ながらアクをときどき取る。5分ばかり煮たら酒かす100グラムを味噌溶きを使って溶き入れ、弱火に落として10分。最後、小口切りにしたねぎと、適当に切った椎茸も加えて3分煮る。余計な味付けはしないが、好みでわずかに白味噌を加えてもいい。
根の野菜をたっぷり加えた粕汁で、からだがよく暖まる。またこの中の鮭のうまいことで、日本の気候と、鮭という北の海からの恩恵に思いを馳せるのも悪くはないだろう。村上は鮭の資源保護の先進地である。