今年はしらうお(シロウオ)が高い。おおむね10年前の倍くらいに高騰している状態だ。シロウオの産地は北海道から熊本に至る日本各地にあるけれど、年々産地は減っているうえ、それぞれの産地での漁獲量も基本的には横ばいというより右肩下がりになっているところが多い。本種の住む沿岸環境や、産卵場所の環境の問題が大きい。特に河口域からの石、礫の減少が大きな影響を与えている。このような減少はダムや堰堤など、いわゆる横断工作物によって引き起こされている。かつて、1トンをゆうに超える(帳簿が残っている範囲で2トンとも言われる)漁獲のあった室見川では、ついに漁獲が50キロを下回るようになり今シーズンは休漁している。しかし、卵を産む場所がないのだから漁を休んだところで回復するわけがない。全国の多くの漁場が似たり寄ったりの状況にさらされていることを深刻に捉えるべきだろう。 さてそのシロウオ(この地では明確にしらうおと発音する)を買ってきて、することと言ったらやはり玉子とじだ。今年は鳥インフルエンザの影響で玉子も値上がりしている。 シロウオの玉子とじには、やたらに味をつけない方がいい。シロウオそのものにハゼらしいうまみがあるからこれを損なわないようにする。しかしうすすぎても味がボケる。 今回はつくしとわらびも加えるので、それらはあらかじめ下処理しておく。小鍋に水一合を沸かして、うすくち醤油、酒、みりんを各大さじ1。そこに上白糖を小さじに二杯加える。つくし20本を半分に切って加え、中火で少し炊いてからシロウオを加える。シロウオは生きているものの表面をさっと水洗いする程度でかまわない。火は中火のまま、シロウオを50グラム、ざっと40匹程度加えて、しっかり白くなったらわらびの芽を加え、すぐに玉子2個分をかけ回す。菜箸で少し整えて、火を切ってふたをして熱を通す。シロウオ単体の玉子とじもぜいたくでいいけれど、ここにつくしが入ると苦みが加わって楽しい、季節感のあるものになる。悪く言えばかさ増し。
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