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1月, 2021の投稿を表示しています

ゲンゴロウブナで鲫鱼湯

この冬は寒さがきびしい。 昨シーズンは歴史的な暖冬であったし、昨年の夏が猛暑、酷暑であったので、暑い方にからだが慣れていて、余計に寒く感じるのもあるだろう。 毎年、2、3回フナみそを作る。今年はこの激しい寒さのせいか、いつもフナがいる場所へ行ってもぜんぜんフナみそにちょうどいいサイズのフナが採れない。仕方がないのでやけくそで少し小さいものや、ゲンゴロウブナまで捕まえて持って帰った。私は基本的にゲンゴロウブナを煮炊きに使わない。簡単に言えばマブナに比べて一段味が落ちるからである。ただし、少しだけこのフナの肩を持つと、この厳寒期に限れば脂がついてそこそこ味がよくなっている。 大きなものから順に選ってフナみそとし、小さいのが余った。しばらく活けておくつもりだったのが使いさしのニラを使い切りたくて、普段はやることのない大陸の料理にしてみる。中国には鲫鱼湯、またそれに類する料理があって、これは要するに炒めたフナを水煮したものだ。たしかダウツンにもこのスープがあったと記憶している。 中国版のクックパッドのようなものでフナの料理を調べてみるも、ちょうど合致するものがないから、基本だけは守りつつも適当自由にやってみる。 フナは生きているものを使う。しばらく泳がせてフンを抜いておいた小ブナ、1匹90グラムほどのもの2匹の頭を叩いて気絶させ、鱗と内蔵をとる。この際胆嚢をつぶさないよう気を付ける。中華鍋にサラダ油お玉1杯を加え、ここにショウガのうす切り5グラムを加えて弱火で3分ほど熱し、よく香りを出す。火を強くして十分温まったらフナを加えて、両面をよく焼く。焼くといっても揚げるような感覚だ。それぞれの面を強火でまずしっかりと焼き付けたら、火を少しだけ弱めて、ときどき鍋を傾けて油をうまく使いながら、フナの表面に火を通していく。5分ほどでフナにあらかた火が通るので、ここに水450ccと、木綿豆腐半丁、これを9等分したものを加えて、強火でよくよく煮る。この際、ほんの少しだけ花椒粉を振る。はじめはほぼ透明だった水が、強火で炊き込むうちに白濁してくる。 アクは少しだけ取る。20分ほど炊いたところへ塩小さじ2分の1、それに長さ2センチほどに刻んだニラをひとつかみ加えて、火が通ったところで器に移す。なお器は別途、湯を入れて温めておく。 この白湯はラーメンの汁を思わせる濃厚さがあって、もちろんフナそのも

筑後川のナマズご飯

 ナマズご飯というものがある。聞き書全集にも出てくるが、どのような料理であるか、ということが分かるかというと、解像度のきわめて低いものだ。この料理は少なくとも筑後川の久留米から田主丸にかけての範囲で冬場に作られていたもので、しかし今は誰ひとりとして作っていないものだ。ごく簡単に書くと、焼き干したナマズの炊き込みご飯である。かつて、秋から冬にかけて捕れる川魚は冬の間の蓄えになっていた。私が聞いた話者によれば、いま、作らなくなってしまった川魚の料理のなかで、唯一今でも食べたいと思う料理だというから、これを作ってみないわけにはいかない。幸運にも松本鮮魚さんからナマズを1匹、分けていただいたので、これを使ってのナマズご飯とした。このナマズがあまりに大きく、話者から聞いたとおりの方法では家庭ではとてもできそうにない。したがって、少々手を加えた方法にしてみたのでそれを書いておく。なお、この料理は晩秋から冬にかけてやるもので、夏場の暑い時期のものを使ってもきっと同じ味にはならない。 まずはナマズの頭を棍棒で何度か叩いて、動かなくする。からだ全体にあら塩をふたつかみほどまぶして、金たわしでよくよく擦る。塩が足りなければ途中で足して、からだの表面の色が淡くなるまでとにかく擦る。擦ったナマズを水で流し、背から開いて内臓を取る。このままでは大きすぎてとてもコンロに入らないから、頭の部分は包丁で割り(これがとても大変だけれど割らないとしょうがない。包丁をあてて、とんかちで割ると楽。)、二枚おろしにして、さらにそれをまた半分に切る。これでナマズが四等分になる。 尾の方は他の料理に使うとして、頭のほう。エラはそのままつけておいて、これを魚焼きグリルに入れて焼く。ところが、ナマズは頭が妙な形をしているから、そのまま焼いてもうまく火が回らない。エラブタを開いて中に折った割り箸でつっかえ棒をして半開きにしておいて、それから焼き始める。とにかく生焼けにする必要があるので、強火でヒレの先が焦げるのも構わないで焼き、7割がた火の通ったところで止める。これはどれくらいかというと、火からおろしてまだ血が滲み、ところどころに肉の桃色が残るけれども、一応エラはだいたい赤黒くなっているし皮には火が通っているという状態で、今回の大きなナマズ(60センチ弱)で25分ほどかかった。魚焼きグリルの性能によっても多少変わるだ