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5月, 2026の投稿を表示しています

淡水魚飲食旅案内 その内容について

これから淡水魚飲食旅案内の入手を検討しているひとたちのために、どのような本なのか、ここに説明しておきたい。 幾度かのつぶやきにもあるとおり、本書は魚滋会のこれまでの取り組みをまとめたフォトブックである。魚滋会(うおしげかい)とは、私が主宰する淡水魚を食べる取り組みであり、基本的には10人程度、魚を食べることが好きなひとたちを集めて、年に一度実施しているイベントである。 初回は1泊2日で開催したが、それではあまりにできることが限られるので第二回以降は2泊3日開催として、これまでに五回、実施している。魚滋会は土地土地で淡水魚を食べること、そのありようを知る、というものだから、食べることはもちろん、魚が採れる場所へ行き、水揚げや流通を見る。ときには、何らかの方法で食材となる淡水魚を現地調達し、自分たちで調理する。私は淡水魚料理のノウハウをおおむね身に付けているし、幸いにして魚の扱いに慣れた参加者が多いので、意外にこれも楽しく、また発見もある。 ただ、このような自炊行為よりも、その土地の飲食店で実際に提供されている料理を食べることの方が重要だ。多種多様な淡水魚料理を一人二人で総なめすることは困難だが、人数がいればメニュー表の端から端までを食べきることもできる。また、さまざまなバックグラウンドをもつひとびとの食事と会話は、それ自体に大きな価値がある。淡水魚料理の理解のための価値である。 そういうわけで毎年、旅先との細やかな調整に苦心しながら開催している本会では、回ごとに参加者が大量の写真を撮影している。ほとんどは食材や料理だが、水辺や町並みの写真もある。回が終わるとそれぞれの写真を出しあって共有している。そうした写真たちは基本的に表に出ることなく、内輪だけで共有されてきた。それらを改めてまとめて、書物としてまとめようというのがそもそもの発端なのである。 今回企画したフォトブック、淡水魚飲食旅案内では、こうした写真の数々を可能な限り収録するように努めた。まったく同じ構図の写真がかなりあるため、そのなかでも魅力的な一枚を選定した。ただし、魅力的ではありながらも、説明的でない、第三者にはよく分からない写真についてはやむなく削ることになった。それでも、写真は350枚以上になった。 さらに、それぞれの写真の理解を助けるべく、さまざまなテキストを追加していった。というよりも、実際の作業と...

淡水魚飲食旅案内の頒布@関西コミティア

 たびたびツイッターでお知らせしているとおり、魚滋会のこれまでの活動をまとめたフォトブック、「淡水魚飲食旅案内」を作った。本書はこれまでの参加者にとってのメモリーブックでもあり、そしてまさしく旅案内でもあり、そして参加者だけにとどまらない、淡水魚文化の記録書でもあるので、一般への頒布を始めている。手に取りやすいよう可能な限り安い値段に設定したので、幅広い層へと届くことを(淡く、しかしたしかに)期待している。 さて本書は5月10日頃に刷り上がり、5月17日の関西コミティア76をもって初頒布を果たした。果たした、とは言っても私はほとんど行っただけであり、申し込みからなにから、すべて炬茶さんが手配したものだ。そもそも私には販売の権利はなく収益には関与しないので、魚滋会の主宰者ではあるけれど頒布の主体者ではない。 大阪には当日の朝、愛知県から出かけた。サークル参加は9時50分から会場に入れるというので、コスモスクエア駅でざっくり9時半に待ち合わせて、そこから歩いて会場へ。乗り換えの本町駅の時点でスーツケースを引いた方が異様に多く、これらがすべて関西コミティアを目指しているのかと実感した。 会場であるインテックス大阪は、広かった。それまで出掛けたことがあるのは九州コミティアだけなので、規模のちがいは歴然。自分達のサークル水景回遊の場所に着くと、すでに片側には参加者が来ていて設営を始めていた。スペースの幅は90センチと決まっていてまったく広いわけではない。常識なのかもしれないけれど、いざ自分が座る側になると狭い。椅子はスペースに2つずつ配られてはいるものの、椅子2つを擦り合わせるほど近づけなければ横のスペースにはみ出してしまう。本がでかいので箱もでかくて邪魔になる!なんとか設営を済ませて頒布を始めても、これまたなかなかリズムよくいかない。今回は私だけでなくオリザさんもヘルプで来られていたのだが、当然3人はスペースに入るわけもない。今日ほどスモールライトがほしいと思った日もない。列ができるのも邪魔になるのであまり長々と話しているわけにもいかない。その案配が難しい。 結局私は途中から壁際に立っていることにして、来てくださった方にはお礼をして、少し話し、ときどき売り子を代わりつつで終了時間を迎えた。売り子、むずかしいな…(素直な感想) 炬茶さんは慣れた様子ではあったものの、単...

サバヒーの話 その2

 さてはじめてのサバヒー体験のあとも、台湾での滞在は続いた。この時滞在していたのは台湾最南端の街、恒春にほど近い研究施設のゲストハウスで、しかし歩いて行けるような範囲にコンビニもなにもないから、朝は車で朝飯屋に出掛けて饅頭やサンドイッチを買うか、コンビニでおにぎりか。昼は弁当で夜だけは恒春まで出て飯を食べていた。恒春というのはそこそこの街で、田舎町ではあるけれどもとにかく飲食店の数はかなり多い。ただ何度も恒春に行けたわけではなくて、たしかこの時には一度しか行けなかった。滞在そのものがタイトであったし、相当多くの時間を研究に費やしていたためである。したがって夜も食べに出るというより屋台店で買ってきたおでんや串もの、ビーフンなどを食べつつ過ごしていた。ただ、このあと述べるとおりでここで二度目のサバヒーを食べた。 さて東港にはじめて出かけたのもこの時である。東港というのは台湾南西部にある鎮で、その名のとおり港から発展した街だ。台湾にはいくつかの巨大な漁業基地があるが、東港もそのひとつ。東港は流通基地という側面も持っているようだが、東港において主要な漁業は底曳き網、そしてサクラエビを主対象としたトロール漁がある。ただ一般の人々にとっては漁業基地というよりむしろ観光地として機能しており、それは日本の旧築地や境港などと同様である。トロール船が漁を終えて港にやってくるのが昼過ぎ、さらにそこからメインの積み荷を下ろして混獲雑魚を下ろすのは14時半頃になる。したがって車城の研究施設を11時頃に出て、途中道すがらお昼を食べて、東港へという算段だ。またある日は東港へ少し早めに着いて、ゆっくりと昼食をとってから混獲物を見ることになった。先に書いたとおりで水揚げ港の近くには大きな観光客向けの販売建物があって、なかにはところ狭しといった具合で小店が立ち並んでいる。多くは生鮮水産物を売る店なのだが干物や乾物、からすみといった土産物を売る店も多い。海鮮料理店もあり、ここでいくつかの海鮮料理と、チャーハンなどを食べることになった。東港の生鮮水産物店にもサバヒーはあった。ただし、売られているのはほとんどがサバヒーの頭の部分だけであり、それがたいへん奇異に感じられた。なぜ、頭だけ?身の部分はいったいどこへいったのだろうか。頭の部分はきれいに洗浄して丸いざるに上を向けて並べられており、それの光景が...

サバヒーの話

 サバヒーのことは、以前一度このブログで取り上げている。 台湾のサバヒーと粥 https://share.google/1xmK4v87kcdn0vuYP ただここで書き留めたのは私が触れてきた台湾サバヒーカルチャーのほんの一端であって、総論として、今の台湾の人々にとってのサバヒーのありようとはなにか?を論じるには、不十分なように思われる。実際、私はこれまで何度も台湾に渡って、それらの目的はサバヒー文化を調べることではなかったけれども、結果的にあらかたの全体像が見えてくるところまでは訪問できた気がしている。写真についてはあとあとで追記することにして、いったん私が見て、食べて、聞いて、感じてきたサバヒー文化についていくらか書き残しておきたい。 サバヒー、司目魚、あるいは虱目魚を初めて食べたのは、2014年のことである。2014年というのは私にとっての初めての台湾訪問の年で、このとき台湾で食べると決めていたのがサバヒーと、ボンベイダックことテナガミズテングであった。旅は2月。台北、基隆での滞在から始まり、高雄から屏東に向けて南下する道すがら、サバヒーを食べることに成功した。台北ではふたつの市内市場を見学していて、ここで初めて、鮮魚として売られるサバヒーを見た。基隆では市場にも、スーパーにも行っていないので、少なくとも形の分かるものは見ていない。 台北から高雄まで台湾高鐵を使って移動し、そこからは車に乗り換えて少しずつ南下する。現地の研究者に事前にサバヒーが食べたいということは伝えてあったものの、ここまで連れていってもらった飲食店では影も形もなく残念に思っていた。高雄、というか左営に着いたのはもう四時半か五時だったか、とにかくすでに夕方なのであり、あたりはみるみる暗くなってしまった。その真っ暗な道すがら、立ち寄った店で食べたのがサバヒーの腹のスープ(虱目魚肚湯)なのであった。この店にはなんとサバヒーはメニュー表になかったのであるが、現地の研究者が交渉してくれたおかげで、出してもらうことができた。この店があったのは枋寮という小さな街で、ロードサイドの海鮮料理店であった。はじめて食べたサバヒーの印象は柔らかい。そして、骨が気になるということだった。後々になって知るのだが、今やほとんどの台湾のサバヒーはひじょうに最適化された形で加工されており、特に腹の部分、つまり魚肚は...