目玉焼きが好きだ。数ある卵料理たちは、そのすべてが魅力的すぎて優劣つけがたいのだけれど、一番好きな料理を強いて順位付けするなら目玉焼き。私はこの目玉焼きにはひとかたならぬこだわりがあって、箸で切ってもギリギリ黄身がこぼれ出さず、かつ裏面がしっかりパリッとなっているものが一番いい。味付けはなくてもいいし、かけるなら塩。世間ではしょうゆをかけるのが主流だそうで、大阪では目玉焼きは「洋食だから」ソースだそう。それでも、我が家では全員、目玉焼きには塩と決まっていた。
目玉焼きという料理は卵を油を敷いたフライパンで蒸し焼きにするという至極単純なものだけど、案外卵のサイズや温度、朝の慌ただしい時間帯という要素が合わさって難しい料理とも言える。特に私のように好みの火の通り加減があると、いっそう困難に思えてくる。フライパンにサラダ油、ぜいたくしたいときにはオリーブ油を敷いて、少し加熱する。フライパンからわずかに煙が上がってきたら、卵をできるだけフライパンに近いところで割り入れる。中火で30秒経ったら、ちょこに半分くらい、卵に直接かからないよう、水を加えて、直後ふたをして蒸し焼きにする。ふたの密閉具合の低いフライパンなら、水はもう少し必要。そこから火を中弱火に落として、だいたい3分くらい蒸し焼きにしたら、ふたを取って中火に戻して2分くらい加熱すると、一旦蒸し焼きでふやけた白身の裏面がパリッとしてくる。こうしてめでたく理想の目玉焼きになる。ただし、卵のサイズや、一度に作る量によっても変わるので、この点気を付けたい。本来は卵を室温に戻してから作ったほうがうまくいくらしいけれど、朝はたいてい時間がないからね。
箸で切ってみると片方は黄身がギリギリこぼれ出なかったが、もう片方はギリギリこぼれ出てしまった。まだまだ修行が足りないみたい。