秋になるといいマアジに出会うことが多くなる。マアジの産卵は春で、盆から秋にかけてもっともうまくなる。ただし、今は6月になっても卵をもっているのがいるし、かなり早くに卵を産んでいるものもいる。産卵期そのものがだらだらと長くなっているような気がしていて、そうなると必ずしもどの時期だからどう、ということは言えなくなってくる。
福岡のスーパーの店頭にはほとんど年中アジがあって、ときに刺身になるようなものが値引きで売られているとついつい助けて帰りたくなる。自分だけが、このアジの良さを分かってやれるんだと、そうやって自分に言い聞かせて買い物かごに放り込む。
さてこの日もアジも持ち帰って肩口のところを少し切って口に含むと大正解。大きめの長崎のアジだった。これでガリガリなますを作る。フナで作るのがもっともいいけれどアジでも構わない。
アジは三枚におろして皮を引いてから(ただし今回はそのように処理されているものを買っている)、厚さ5ミリから8ミリ程度の糸切りにする。要するに、魚を横長に置いて、包丁を縦に引いてスライスしていく。これにほんのり塩をまぶして5分ほど置く。水気が出てきたら拭き取って、今度は酢味噌と和える。酢味噌にはどんな味噌を使ってもよく、今回は麦と米の合わせ味噌で、酢を少なくする。味噌が甘ければ砂糖は加えなくていい。和えてから少なくとも15分くらいは置いて、味を馴染ませる。
大根は皮を剥いて、鬼おろしでガリガリとおろす。がりがりなますの名のゆえんである。量は好きなだけで構わない。先に酢味噌と和えておいたアジに加えてよく混ぜ、皿に盛って出す。